Listen to this album! Vol.2

 

〜緻密な都市型音楽絵巻〜 (Steely Dan / Gaucho

 

ライヴをやらないバンド?

 Steely Danがデビューしたのは、1972年。アルバム「Can't Buy A Thrill」、シングル「Do It Again」共に全米チャート上位を記録し、順調な滑り出しを見せました。しかし、当時のメンバーによるとライヴは聞けたものじゃなかったとか。このつまづきが、中心メンバーである、Donald FafenとWalter Beckerにある決断をさせたのか?
 彼らは、80年の「Gaucho」まで、7枚のアルバムをリリースしますが、最初は6人だったメンバーは、作品ごとに減っていき、5作目の「The Royal Scam」からは、Steely Danはバンドという実体を持たずFafenとBeckerの2人とプロデューサーのGary Katzの3人のいわば”コンセプト名”となりました。
 つまり、頭の中の音楽的要素を実現するための演奏者を選択し、その組み合わせで音を構築していくという方法で、それ以後も77年の「Aja」、80年の「Gaucho」と傑作アルバムをリリースしていきます。

安易な?ヒュージョンには見られない緊張感

 さて、この「Gaucho」。前作の「Aja」が大成功を収めたので、その後、Steve GaddやChack Raineyなどなど彼ら専属の?お気に入りのミュージシャンが引っ張りだこになったこともあり、リリースまで3年もかかったのですが、その洗練さと鋭さは前作以上で、聞き手がこんなにも緊張させられるものかと感じます。
 例えば、最初にシングルカットされた「Hey Nineteen」は全米のTop10に入る大ヒットとなりましたが、そのコード展開の難解さは、まさにジャズ並み。また、一見ならぬ一聴?お気楽なダンス・ナンバーに聞こえる「Time Out Of Mind」のギターソロは、あのDire StraitsのMark Knopflerですが、セッションに参加した彼を待っていたのは、ニューヨークのいくつかの著名なスタジオの同じ部屋を、1年間まったく同じ時間押さえているというその完璧ぶりでした。 また、普通アルバムに入る曲は10曲ぐらいですが、少なくとも「Gaucho」に関しては50〜60曲用意し、さらにそれぞれをいくつかのパターンで録音していたので、スタジオワークには膨大な時間がかかったといわれます。
 しかし、彼らは、決して単なる成金趣味ではなく、求道的な姿勢で真摯に都市型の音楽に取り組もうとしたための必然の選択だったのでしょう。その時代に見られた、どんなにうまくても画一的に聞こえてしまう安易なヒュージョンのような?(好きな人にはごめんなさい)豪華ミュージシャンのサポートのみで生まれる音楽ではなく、あくまでもSteely Danというコンセプトによって集約され、極限の緊張感という形で極められたのが、このアルバムといえるでしょう。

未だに続くそのコンセプト?

 その後彼らは、その形のないユニットを自分たちでコントロールできなくなったのか、81年には活動停止を発表しましたが、82年の「Nightfly」に続き、93年には、Fafenが11年ぶりのアルバム「Kamakiriad」を発表。
 そのプロデューサーはなんとBeckerでした。ちなみに、リリース後彼らの苦手だったはずのツアーを行い、なんとSteely Dan名で来日までしました。
 ということで、Steely Danというコンセプトは、もう終わったと見せかけて実は未だに続いているのかもしれません...。

 

Steely Dan / Gaucho

  1. Babylon Sisters

  2. Hey Nineteen

  3. Glamour Profession

  4. Gaucho

  5. Time Ont Of Mind

  6. My Rival

  7. Third World Man